アフターレポート from FMちゃおvol.6
八尾で優れた芸術に触れ親しんでもらうために、八尾市文化会館プリズムホールは文学座と地域拠点契約を結び、
公演をはじめ、演劇がもっと身近になるワークショップや朗読会、学校訪問などに取り組んでいます。
今回はその文学座地域拠点契約関連事業である、
「「逃げろ!芥川」プレ企画第1弾 あなたの日常会話を芝居のセリフにするとどうなるか」
「プロの俳優と全力のお芝居づくり!」
「「逃げろ!芥川」プレ企画第2弾 舞台俳優が読む名作 芥川龍之介&菊池寛」の
3つのイベントについて一気にお届け!
7月1日
あなたの日常会話を芝居のセリフにするとどうなるか
令和5年7月1日(土)に文学座公演『逃げろ!芥川』プレ企画第1弾「あなたの日常会話を芝居のセリフにするとどうなるか」が行われました。
これは演劇の初心者の方向けのワークショップで、講師に文学座演出家 西川信廣さん、アシスタントに文学座俳優の日景温子さんをお招きし実施されています。
またこの日は、インターンシップでプリズムホールに来ていた近畿大学の学生達も一緒に芝居を体験されていました。
前半はウォーミングアップ!
(輪になったり、手や足を使って動き回ったりして、体と頭と集中力を使うウォーミングアップで大盛り上がり!)
前半は、声を出したり身体を動かしたり、簡単なゲームを通して、お芝居に必要な相手へ集中すること、場へ集中することを経験されていました。
後半は実際に台詞や動きを体験!
(西川さん直々の演出で、同じ場面一つとっても動きやシチュエーションに変化が生まれます!👀)
後半では西川さんから教えてもらいながらセリフの掛け合いをして、実際に芝居を体験。
初めは見られながら声を出したりポーズをとったりすることに照れや恥ずかしがる様子がありましたが時間がたつにつれ、
それもなくなって芝居の面白さに皆さんしっかり触れられた時間となりました。
8月3日
プロの俳優と全力のお芝居づくり!
夏休みに行われている、プリズムサマーワークショップ。その一つとして、プリズムホールが地域拠点契約を結んでいる文学座による「プロの俳優と全力のお芝居づくり!」が開催されました。
講師は、文学座俳優の高橋ひろしさん、日景温子さん、松浦慎太郎さん。
レセプションホールに集まったのは、八尾市内の小学生7名と中学生1名です。
ワークショップは午前10時から午後5時まで。どんな風にお芝居が出来上がっていくのかを知ってもらいたいということで、
「読み合わせ」「立ち稽古」「抜き稽古(場面・グループに分かれての稽古)」「通し稽古」「ゲネプロ(途中で止めることなく、本番さながらにする通し稽古)」「本番」をこの一日で行います。
「風」になろう! 「鳥」になろう!
(まずは自己紹介!それと体をいっぱい動かすウォーミングアップから!)
どんなことをするのかな?と様子を伺うようにして入ってきた子どもたちでしたが、お互いの名前を呼び合い体を動かすウォーミングアップをしているうちに、あっという間に打ち解けていきました。
また、「風」や「鳥」になってみたり、「滝」の気持ちになって動いてみたり。子どもたちは、実際の演劇に入る前から、力いっぱい表現することの面白さに気付いたようでした。
舞台を作ってみよう!
30分ほどウォーミングアップをしてから、俳優さんと一緒に台本の読み合わせに入りました。題材は、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」です。
役を振り当てられた子どもたちは、みんな上手に読みすすめていくのですが、途中で俳優さんがセリフを言うと、
その演技にハッとした様子で、ただ読むだけでなく感情がこもってきたのが分かりました。高橋さんもニヤリとしています。だんだんとセリフもテンポよくなっていきました。
(台詞や動きを確認しつつ、いざ本番へ!えいえいおー!✊)
休憩を挟みつつ、立ち稽古・通し稽古などをして、午後4時20分からは、いよいよお客様であるご家族の前での発表です。
緊張の本番はいかに…?
高橋さんの合図がかかると、本番がスタート。台本は持ったままですが、台本から目を離して堂々としゃべる子もいれば、次に言うべきセリフが分からなくなり言葉につまってしまう子も。
でも観客席の保護者の皆さんは、このわずか一日での子どもたちの成長に目をみはっているようでした。
観客の中のお子さんは、目の前で繰り広げられるお話しの世界に入り込んで、笑ったり驚いたり!舞台は拍手とともに無事終了しました。
(最後はみんなで作中に登場したキノコのポーズ🍄)
その後、皆で一日の振り返りをしました。子どもたちの感想は、
「先生たちが優しく教えてくれてやりやすかった」「一日で発表するのは難しかった」「楽しかった、またやってみたい」など。
また、本番については、「本番で言うのを忘れてしまってくやしかった」「めちゃくちゃ緊張した」とのことでした。
先生方は、「演劇でくやしい思いをした人は、ぜひまた演劇に挑戦してほしい」、
「楽しかったと言ってくれたけど、『何が』楽しかったのかを考えてほしい。話し合って一つのお芝居を作ったことが楽しかったのか、新しい発見があったからなのか」。
楽しむこと、そしてそれを言葉にし、行動にすること。その積み重ねが、これからの彼ら・彼女らの将来につながっていくのでしょう。夏休みのいい体験になったようですね!
8月19日
舞台俳優が読む名作
8月19日(土)、八尾市文化会館プリズムホール5階レセプションホールで文学座公演「逃げろ!芥川」プレ企画第2弾「舞台俳優が読む名作」が開かれました。
プリズムホールは八尾で優れた芸術に触れ親しんでもらおうと、文学座と地域拠点契約を結び、公演をはじめ、演劇がもっと身近になるワークショップや朗読会、学校訪問などに取り組んでおり、来る11月8日(水)には文学座公演「逃げろ!芥川」の開催を予定しています。
今回はその公演に向けたプレ企画の第2弾。
当日の公演出演者から若松泰弘さん、郡山冬果さん、日景温子さんの3人の文学座俳優を招き、菊池寛「マスク」、芥川龍之介「杜子春」の2作を朗読されました。
菊池寛「マスク」
レセプションホール内に設けられたステージに3名が登場すると会場内は大きな拍手に包まれます。
まずは「マスク」の朗読から。
菊池寛本人がモデルと思われる「私」は心臓や肺が弱く、診察する医者は主人公を脅かすことしか口にしません。
その言葉に怯える毎日を過ごす主人公は新聞に掲載されるスペイン風邪の死者数の増減に一喜一憂し、外出の際はマスクが手放せなくなる…という物語です。
芥川龍之介「杜子春」
続けて「杜子春」の朗読。
お金の有無で態度を変える人間を信じられなくなった主人公・杜子春は仙人の鉄冠子に弟子入り。
「自分が戻るまで何があっても声を出してはならない」と命じられた杜子春は苦しみに耐え忍びますが…という童話作品です。
朗読が始まると来場者の視線は一斉にステージ上の出演者に向き、一気に物語の世界に引き込まれている様子でした。
朗読後は交流会!
朗読後は交流会として、3名から今回の朗読を振り返ってのお話、本公演に向けての意気込み、夏の乗り切り方まで様々なトークが繰り広げられます。
若松さんは
「朗読は作家と聞き手が握手しやすいよう、橋渡しをするのが前提。
ただ、今回は俳優ならではの臨場感や、感じたことを前面に押し出しても良いのではないかという気持ちで朗読した。」と振り返りました。
また、「マスク」を朗読した郡山さんは
「物語を読んだとき、マスクを外した際の不安感や高揚感といった気持ちも含め、コロナと同じ経験だと感じた。」と話しました。
そして暑い夏をどう乗り切るかという質問に対して日景さんは
「体をよく動かして汗をかいてシャワーを浴びてご飯を食べて寝る。」との答えが。
俳優さんたちの普段は知ることができない一面が垣間見え、来場者は興味津々で聞き入っていました。
今回登場の3名の俳優も出演される文学座公演「逃げろ!芥川」に期待が高まります。
ぜひ迫力の公演をプリズムホールでご覧ください!
「逃げろ!芥川」の詳しい公演情報などは下のリンクから↓↓
八尾市プリズムホール – 八尾市文化会館プリズムホール (prismhall.jp)