アフタレポート from FMちゃお vol.10
「まちで魅了する舞台」シリーズは、八尾の魅力的な建物や隠れた名所に、アートと美味しい味覚も加え、素敵な異空間で魅了するプリズムホールの催しです。
今年は八尾出身の謎多きヒーロー、道鏡につながる作品やスポットを取り上げます。
今回は10月・11月に開催した、
「古民家のオペラコンサート 若き日の道鏡」
「旭堂小南陵と素敵な女性芸人の落語・講談会」の
2つのイベントについてお届け!
10月14日
若き日の道鏡
「まちで魅了する舞台」シリーズの第1弾、「古民家のオペラコンサート 若き日の道鏡」が恩智中町にある築250年の古民家「茶吉庵」の米蔵で開催されました。
なお、「若き日の道鏡」は、1998年に八尾市にゆかりのある芸術家の方々が中心となって創作・上演したオペラ作品です。
今回のコンサートでは、その中の楽曲をはじめ、聴き馴染みのあるオペラを披露されました。
会場である米蔵の壁には、八尾市在住の画家・大槻洋子先生の手による道鏡と称徳天皇の絵が掛けられていました。
オペラコンサート開演!
オペラコンサートは、バリトンの桝貴志さんと、ピアノの藤江圭子さん。
そして急遽、午前の部ではソプラノの髙嶋優羽さん、午後の部ではテノールの矢野勇志さんもご出演になるという、豪華なコンサートとなりました。
(当日はピアノ:藤江圭子さんの古希のお祝いの日でした!✿)
楽曲は、「紅葉」「里の秋」でしっとりと。「鉾をおさめて」で力強く。「道鏡のアリア」で秘めた恋心を歌い上げました。
シューベルトの「野ばら」、ビゼーの「闘牛士の歌(カルメンより)」など、誰もが聴いたことのある楽曲で、皆さん自然に体が音楽に合わせて揺れていました。
アンコール含めて11曲。体と、心に響く素晴らしいコンサートでした。
なお、ピアノは茶吉庵に以前寄贈された「電気ピアノ」でした。1980年頃までの一時期生産されたピアノとのことです。
見た目はアップライトピアノですが、音を増幅することができます。狭く密集した住居環境でも、音量の調節が出来るということで使用されていたようです。
ピアノとも電子ピアノとも違う音色も興味深かったです。
なお、今回のコンサートでは、道鏡ゆかりの国指定史跡「由義寺跡」などを歩く「まちあるき」と、
恩智の話題のお店「シャルキュトリーロシニョール」のワインとサンドイッチの「グルメタイム」を、オプションで付けることができます。
「まちあるき」と「グルメタイム」!
「まちあるき」に参加された方は、近鉄恩智駅かJR志紀駅に集合して、由義寺跡を目指しました。案内はNPO法人八尾市観光ボランティアガイドの会の皆さんです。
由義寺跡の碑の前で、道鏡と称徳天皇の物語を紙芝居で説明して頂きました。
また、道中では、出土した瓦や、由義宮の範囲にあったと推測されている「大塚」、「弁財天塚」、「都留美島神社」などの紹介がありました。
「ひと昔前までは田んぼと畑しかなかった」というこの地域も、今はすっかり住宅街に。
そこここから漂うキンモクセイの香りに包まれながら、称徳天皇と道鏡が夢見た由義寺、そして西の京に想いを馳せました。
「グルメタイム」をオプションで付けられた方は、茶吉庵の母屋と米蔵の間の中庭で頂きます🥪🍷
タマゴや野菜、カツが彩りよく挟まれたサンドイッチはとってもおいしそう!ドリンクは、ワインか赤ブドウジュースが選べます。
この日は少し曇っていましたが、秋らしくカラッとしていて、コンサートの感動を語り合いつつ庭で過ごす時間は格別のようでした。
11月5日
旭堂小南陵と素敵な女性芸人の落語・講談会
まちで魅了する舞台シリーズ、今年の第2弾は「旭堂小南陵と素敵な女性芸人の落語・講談会」です。
道鏡と称徳天皇が由義宮で過ごした頃「市が開かれ、二人も訪れた」という記録がある龍華寺跡という史跡のすぐ近くにある、
八尾で唯一の寄席小屋「喜楽亭」に、旭堂小南陵が登場します。
旭堂小南陵さんは八尾市出身。2016年八尾市文化新人賞を受賞するなど、上方講談会をリードする女性講談師です。
「素敵な女性芸人の・・・」というタイトル通り、旭堂小南陵(講談)、露の眞(落語)、露の瑞(落語)、はやしや福(お囃子)と、四名の出演者は全員女性です。
寄席小屋は満員御礼!開演時間まで、喜楽亭オーナーの中川さんによる漫談が繰り広げられました。
中川さんはネタの宝庫。大いに笑って会場があたたまったところで、いよいよ開演です。
まずはお囃子体験コーナーから!
最初に、お囃子についてのお話しがありました。
開場する時の「一番太鼓」、開演の時の「二番太鼓」、そして出演者によってかわる「出囃子」などを解説。
普段は舞台袖にいるので演奏する様子は客席から見えませんが、この日は実際に目の前で太鼓や三味線、笛で演奏し、さらに客席から希望者を募って一緒に演奏するという場面も。
また、お囃子はCDなどを使って流すことも多いのですが、今回の落語・講談では生演奏での演出で、臨場感のある貴重な機会でした。
笑いたっぷりの落語!
眞さんは芝居好きの口ぶりが楽しい「蛸芝居」。ユーモラスな所作とあわせて、客席が笑いに包まれました🐙
続いての瑞さんは伊勢参りの旅の者が化かされる「七度狐」。
明るく、はりのある声で、観客から「かわいい!」という声がもれるほどでした🦊
終わりは涙誘う講談…!
そして小南陵さんの講談は、”神崎与五郎の少年時代”を話されました。
八尾市民にとっては「神崎与五郎 東下り」の河内音頭でもおなじみのあの神崎与五郎が、なぜそれほど忍耐したのか、その幼年期を語るもの。
客席にはそっと涙をぬぐう人の姿もありました…!💧
落語・講談を堪能した2時間でした。
この日のおみやげは八尾の老舗「風土菓 桃林堂」の季節のお菓子です。「栗蒸ようかん」を手に「楽しかったね」と口々に感想を語り合いながら帰路につきました。